1.効率化
当初、「うき・剥離」を外観目視で選別できなければ、全音打音検査する方向で検討してい
ました。
しかし、全部材に高所作業車などを用いて近接することは効率的ではありません。
このため、対象構造物の損害状況を遠方から広角度で捕捉できる機能に着目して、
一次スクリーニング用の機器として採用することにしました。点検用の機器として現場に
おける携帯性は重要な要素であり、携帯性に着目した赤外線カメラによる調査を導入して
みてはいかがでしょうか。
2.信頼性
うき・剥離などの内部欠陥は、主として打音検査によって把握することとしていますが、
打音検査は点検査の聴覚によるものであり、記録に残らないこともあり、
信頼性を疑問視されることがあります。サーモグラフィ法は、必要であれば熱画像を残す
こともでき、これを使用することにより点検の信頼性を高めることが出来ます。
3.近代化
打音検査と併用して点検の信頼性を得ること、点検の省力化を図ることなど、
従来の点検とは異なる合理化、近代化を図っていると考えます。
< 建造物の熱画像例 >
樹脂注入工法
コンクリートやモルタルの0.2〜1.0mm程度のひび割れ部にエポキシ樹脂を注入し、
改修する方法です。注入する方法として自動式、手動式及び機械式の3種類があります。
注入剤は注入用エポキシ樹脂規格(JIS A6024)に適合するものとします。また、下地
の湿潤状態や低温時の施工に対してはアクリル樹脂を注入します。
< 施工例(自動式低圧注入) >
モルタルやタイルがコンクリート躯体から浮いている場合に、エポキシ樹脂注入とステンレス
製ピンとの併用により、接着固定をし剥落を防止する工法です。従来本工法に用いられる
アンカーピンは、4mmの丸棒を全ネジ切りしたアンカーピンを使用し、エポキシ樹脂を
注入した孔に挿入して、エポキシ樹脂が固塊まり十分な接着強度が得られた後に、
注入専用の孔からエポキシ樹脂を注入していましたが、近年、モルタルやタイルの浮きを
機械的に固定すると同時にエポキシ樹脂を注入できる特殊な注入口つきアンカーピンを
使用する方法が急激に普及してきました。
< 施工例(外壁タイル
浮きビス併用注入) >
ガソリンスタンド・工場・倉庫・車庫などの床面補修は、施工時間が限られ養生時間も短い為
、短時間で実用強度が発生し剥がれにくい材料を選定しなければなりません。無収縮早強モルタル
敷込工法は、高圧洗浄後、接着面に湿潤面・油面の接着力があるアクリル樹脂を塗布し、
既配合無収縮早強モルタルを5mm程度敷込む方法です。
無収縮早強モルタル敷込工法の施工条件は、気温が20℃〜25℃で敷込完了から
最低でも3時間以上の養生が必要です。
従来は、低温時期の施工となると、採暖による防寒養生を施さなければなりませんでした。
冷蔵庫内の補修となると、防寒養生は施工条件として取り入れられません。アクリル樹脂モルタル敷込工法は、接着面にアクリル樹脂剤を塗布し、アクリル樹脂に硅砂・炭カルを攪挫し、コテで塗り込む工法です。又滑り止めに硅砂を散布します。